北海道の住宅でカビ対策

目次

北海道の住宅はカビやすいのか?

これに関しては「絶対にカビやすい」とは言い切れませんが、暮らし方や住宅の使用方法などで大きく変わります。詳しく考えていきましょう。

北海道の住宅におけるカビの発生には、寒冷地ならではの気候と、厳しい冬の寒さに適応した住宅構造が大きく関係しています。主な原因は以下の3つが挙げられます。

1. 高い気密性・断熱性による「結露」

北海道の住宅は、厳しい寒さから室内を守るために、非常に高い気密性と断熱性を備えていることが多いです。これは冬を快適に過ごす上で不可欠な要素ですが、同時にカビの発生を促す大きな原因にもなります。

  • 室内外の温度差: 外気温が氷点下になる中、室内は暖房で温められるため、壁や窓ガラスに大きな温度差が生じます。
  • 結露の発生: この温度差により、暖かく湿った室内の空気が冷たい部分に触れると、空気中の水蒸気が水滴に変わる「結露」が発生します。
  • カビの温床: 結露による水滴が、窓枠、壁の隅、押し入れの中、家具の裏など、空気が滞留しやすい場所に溜まることで、カビが繁殖しやすい高湿度の環境が生まれます。

2. 冬場の加湿と換気不足・夏のエアコンによる気温差

冬期間は暖房を使用することで空気が乾燥しやすいため、多くの家庭で加湿器を使用したり、室内で洗濯物を干したりします。しかし、高気密な住宅では、発生した湿気が外に逃げにくく、過剰な湿度が室内にこもってしまいます。

また、近年の北海道は夏の気温も35度以上40度近くまで上昇する為エアコンで室内を冷やしますが、この際にも外気温と室温の温度差で結露が発生しやすい傾向にあります。

  • 湿気の蓄積: 加湿器や室内干し、調理、入浴などで発生する水蒸気が室内に留まり、家全体の湿度が高くなります。
  • 換気の重要性: 気密性が高い分、意図的に換気をしないと、汚れた空気や湿気が外に排出されず、カビの成長を助ける環境が維持されます。
  • カビが発生しやすい温度・湿度:カビは室温でいうと20~30度、湿度60%以上で活動が活発になります

3. 夏の気温と湿度

北海道の夏は比較的短く涼しいイメージがありますが、近年では気温が高く、湿度も高くなることが多いです。この時期に、冬場に蓄積した結露による湿気が残っていると、気温の上昇と相まってカビの成長が活発になります。特に床下の基礎部分などは湿度がこもりやすいので、基礎からの湿り空気の上昇によるカビリスクも軽視できない問題であると考えられます。

まとめ

北海道の住宅におけるカビ問題は、「高気密・高断熱」というメリットが、換気を怠ると「結露」というデメリットに転じ、カビの発生につながるという構造的な特徴に集約されます。

カビの調査やご相談で様々なお宅へ伺いますが、けっこう多い「これはカビますね」という失敗事例がいくつかあります。

  • 換気口を塞いでいる:お部屋のちょっと高い所についている換気口(四角だったり丸だったり、吸気だったり排気だったり、種類は住宅の換気方法の種類、1種換気2種換気3種換気とかで変わります)を寒いから、虫が入るから、ホコリが入るからという理由で塞いでいる。
  • 換気口が汚れている:ほこりなどがビッチリでそもそも吸排気の機能が働いていない
  • カーテンを閉めっぱなし:カーテンって思っている以上に湿度を滞留させます
  • 基礎の通気口の開閉をしていない:夏は開ける、冬は閉めるなど通気口があるお宅は状況に応じて操作が必要です

住宅ってよっぽどひどい業者さんが立てない限りは、きちんと使用していればそうそう簡単にカビは発生しません。ですので、住宅の標準仕様の吸排気はしっかり機能するように使用する。

定期的に換気を行う(窓を開ける)、朝晩カーテンの開け閉めは行う、カビの原因に繋がるホコリなどはきちんと掃除をする。など基本的なことが出来ていればカビ対策としてはかなりの効果を期待できます。

自分の努力ではどうにもできない理由でカビが発生するケースも多いです。

1. 結露対策の不備によるもの

北海道の住宅で特に問題となる結露は、建築的な欠陥が原因となることがあります。

  • 断熱材の施工不良:
    • 断熱材の隙間や欠損部があると、そこだけ壁の表面温度が極端に低くなり、部分的な結露(ヒートブリッジ)が発生します。
    • 断熱材が湿気を吸って性能が低下している場合も、結露の原因となります。
  • 気密性の不足:
    • サッシ周りやコンセント周り、壁と床の接合部などに隙間があると、外気が侵入して冷たい空気が流れ込み、結露が発生しやすくなります。壁と床の間の部材(巾木)付近やコンセント付近に手を当てて風を感じる場合など
  • 換気システムの不備:
    • 24時間換気システムが適切に設計・施工されていない場合、計画的な空気の流れが生まれず、湿気が滞留する場所ができます。(住宅性能と換気計画の実態に乖離がありすぎる場合など)
    • 換気ダクトの勾配が不適切で結露水が溜まる、換気扇の排気口が外壁から近すぎて湿気が再循環するなどの事例もあります。
  • 窓の性能不足:
    • 単板ガラスや性能の低いペアガラスの窓は、冬場の室内外の温度差が大きくなり、窓ガラスやサッシに大量の結露が発生します。

2. 雨水浸入(雨漏り)によるもの

建物外部からの水の浸入は、カビの発生に直結します。

  • 屋根・外壁の施工不良:
    • 屋根材の継ぎ目、外壁サイディングの目地、防水シートの破れなどから雨水が壁内部に浸入し、柱や下地にカビが繁殖します。
  • 開口部周りの施工不良:
    • 窓やドアのサッシ周りのシーリングが劣化したり、適切に施工されていなかったりすると、そこから雨水が染み込みます。
  • バルコニー・ベランダの防水不良:
    • バルコニーの床や壁の防水層にひび割れや剥がれがあると、下階の天井や壁に雨漏りが発生し、カビが生えます。
  • コーキングの劣化・施工不良:
    • 外壁や窓周りのコーキングにひび割れや剥がれがあると、そこから雨水が内部に侵入し、断熱材などを濡らします。

3. 地下水や地面からの湿気によるもの

地盤や基礎の施工が不適切だと、下から湿気が上がってきます。

  • 基礎の防水対策の不備:
    • 基礎の外周部や床下に防湿シートが敷かれていない、または破れている場合、地面からの湿気が直接床下に上がり、床板や下地にカビが発生します。
  • 床下の換気不足:
    • 床下換気口が少なすぎる、または物で塞がれていると、床下の湿気が逃げず、木材を腐朽させカビを発生させます。
  • ベタ基礎のひび割れ:
    • 基礎コンクリートにひびが入っていると、そこから地下水や雨水が浸入し、床下の湿度を上げます。

4. 配管の施工不良によるもの

  • 水道管・排水管の漏水:
    • 壁や床の内部にある水道管や排水管の接合部が緩んでいたり、施工不良で水漏れを起こしたりすると、見えない場所で壁や床が濡れ続け、大規模なカビの温床となります。

5. その他の事例

  • コンクリートの乾燥不足:
    • コンクリートは完全に乾燥するまでに時間がかかりますが、十分に乾燥しないまま内装工事を進めると、内部の水分が壁や床から蒸発し、湿度を上げてカビを発生させます。
  • 内装材の選定ミス:
    • 湿気を吸収しやすい内装材(特定の合板や壁紙など)を、湿気がこもりやすい場所に使うと、カビが生えやすくなります。

などなど挙げるとキリがありませんが、これらの要因でカビが発生する場合があります。

Beクリーンで相談を受ける事例でも「中古住宅を購入したが、数年でカビだらけになってきた」というものが多いです。

最近の中古住宅って「ほぼ新築」といっても過言でないほどキレイになっている家も多いです。

こういう家は注意が必要です。

業界で「化粧工事」なんて言われますが、とにかく安価に見た目だけを新築にする工事。

この化粧工事だけでリフォームされている中古住宅はとても多いです。どんなにカビやすい家でも、もともとカビだらけだった家でも化粧工事が行われると「中身は新築じゃん!」って見えてしまいます。

カビ対策を行わずして見た目を整えても数年でカビが生えてきます。そのころには遅しで、購入した業者さんに相談しても「住み方、使い方が悪かったんじゃないの?」と言われてお終い。なんてことも多いです。残念ですけど。。

たぶん住宅に関わる仕事をしていたり、専門知識が無ければ化粧工事をした家を内覧するだけでは「この家カビるね」って分からないと思います。

余談にはなりますが、僕が一度目の結婚に失敗し(汗)一人暮らしのアパートを探していた時に数件内覧しました。決めたのは僕と同い年(昭和56年)の木造アパートでした。

ものすごく古いんですけど、それこそ化粧工事でそれなりにキレイ。僕はボロ屋敷が好きなのでキレイさはどうでも良かったんですが、決め手は「この家は絶対カビない!」って理由でした。

6年くらい住んだでしょうか?やはり一度もカビることなく引っ越せました。

専門知識があると「カビるカビない」って分かるんですよね。というエピソードでした。古くてもカビない家はカビない。新しくてもカビる家はカビる。こればかりはカビが嫌なら専門職に相談して見てもらうのが間違いないですよね。

カビにはカビキラー。間違いないですが、プロなら専門知識が必要です。

先述した通り湿度や換気、もちろんカビそのものへの知識も必要。

僕が持っている国家資格。建築物環境衛生管理技術者。これは世間一般では通称「ビル管」といわれており、ビル管理の専門資格ですが、実は内容はもの凄く幅広いです。

ここで、ビル管の試験に受かる為の必須科目を挙げてみます。

  • 建築物環境衛生管理総論:衛生管理の心構え的なものから、歴史、背景、ニーズ、評価方法、各種申請書報告書などの作成方法などなど
  • 建築物衛生行政概論:各種法規、建物の衛生に関する法規は勿論、建築基準法から消防法、廃棄物、労働安全衛生法、学校保健安全法などなど多岐にわたります
  • 建築物の構造概論:建物の構造などをかなり詳しく学びます。建築物の設計や計画、熱負荷、遮へい係数、日射受熱、材料の分類、構造、強度、重量、地盤、構造力学、水平荷重鉛直荷重、耐震構造、電気設備、ガス設備、輸送設備、駐車場設備、防火、防炎、排煙、消火、防災、防犯、などなどこの章は特にボリュームがすごいです。
  • 建築物の衛生管理:環境と人間、人体構造、臓器の機能、生体恒常性、ストレス、体温、温熱環境指数、熱中症、冷暖房、空気の組成、空気汚染質、音、耳の構造、騒音と健康、振動と健康、光、目の構造、色彩、照度と輝度、VDT作業、電場、磁場、電磁波、清電場、青磁場、水、腎臓、水質、飲料水、汚水、病原性微生物、感染症、
  • 室内環境の管理:空気の基礎、湿り空気と湿度、熱伝導、熱対流、熱放射、静止流体の圧力と大気基準圧、ベルヌーイの定理、レイノルズ数、圧力損失、噴流、室内気流分布、湿り空気線図、結露、空気清浄化、換気、室内温度、室内湿度、室内気流、空気調和設備の原理、各種設備の実際の管理仕組み、空気環境測定、音振動環境の管理、光環境の管理
  • 給水及び排水の管理:計画、設計、施工、維持管理、各種基準、給水の衛生、給水設備、水圧、流速、貯水槽、配管材料、配管の仕組み、給湯設備、加熱方式、膨張弁、排水の管理、排水の種類、排水の配管方式、各種排水、衛生器具、雑用水、排水処理、浄化槽、特殊設備、
  • 清掃:目的、各種法規、清掃計画の立案、作業管理、評価、産業廃棄物、
  • ねずみ昆虫などの防除:害虫害獣概論、ペストコントロール、IPM,対策、防除、各種害虫などの生体、器具薬剤、
  • 新しい環境管理の動向:エネルギー管理、BEMS,TAB,Cx,ESUM,LCEM,FM,PM

僕の記憶にあるだけでこれだけあります。教科書を見るともっともっと多いのではないでしょうか?

何を言いたいかというと、建築構造や湿り空気、結露などはもの凄く専門的に学ぶ資格なんです。カビ対策で大切な空気の動き方(気流)なんかも必須科目ですし。単なる「この薬剤をこういう風に使って処理すれば、うちのカビ処理システム使えるよ!」とか「フランチャイズでOK」みたいな施工方法とカビの概論だけ習っている業者さんとは専門性が格段に違いますよ。ってのをアピールしたかったんです(汗)

例えば金属などのように全く水分を透過させない材質の場合の湿気伝導抵抗なんて計算。これも本気でカビ処理をしようと思うと使うわけですけど、そんな計算も建築物環境衛生管理技術者の範疇、以下の式ですね

ほかにも室内の空気がどれくらい汚染されているか?汚染濃度を計算(過度状態かを調べる)とかだと

こんな公式で計算をします。

なんかプロっぽいですよね。

そしてBeクリーンはカビの専門の学会がありますが、その学会に所属しております。専門の学会で常に最先端のカビ処理などを学んでいます。これも専門性が高いポイントです。

インターネット検索では検索下位ですが、専門性は上位だと思います。たまたまBeクリーンにたどり着いた人は是非ご相談だけでも。

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