消臭剤の使い分け。製品を購入する際のヒント

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Beクリーンも基幹となる商売は「お掃除」ハウスクリーニング、空室清掃、ビルメンテナンスとお掃除全般が今でもベースではありますが、消臭関連のお仕事が増えてきてBeクリーンは消臭屋さんだと思ってくれている人も多いようです。

Beクリーンとしては「掃除屋さんが提供するお掃除ベースの脱臭消臭サービス」というスタンスで消臭も行っています。

そんな消臭屋さんですが、消臭屋さんと切っても切り離せないのが「消臭剤」ですね。

日本中の消臭業者さんから「何を買えばいい?」「何を使えばいい?」と相談を受けます。

ちょっと解説します。

バイオ系消臭剤

化学反応系消臭剤

酵素系消臭剤

マスキング系消臭剤

吸着系消臭剤

中和系消臭剤

    1. バイオ系消臭剤

    • 主な成分: 微生物(バクテリア、酵母など)やその培養液、酵素など
    • 消臭メカニズム:
      • 臭いの原因となる有機物を微生物が分解し、水や二酸化炭素などの無臭または低臭性の物質に変換します。
      • 特定の臭い物質に特化した微生物が利用されることもあります。
      • 酵素は、特定の臭い成分を分解する触媒として働きます。例えば、タンパク質分解酵素は汗や体臭の原因となるタンパク質を分解します。
    • 特徴:
      • 自然由来の成分が多く、環境に優しいとされるものが多いです。
      • 効果が出るまでに時間がかかる場合があります。
      • 特定の臭いに高い効果を発揮することがあります。

    2. 化学反応系消臭剤

    • 主な成分: 酸化剤(オゾン、次亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素など)、還元剤、中和剤など
    • 消臭メカニズム:
      • 酸化: 臭い物質を酸化させることで、別の無臭または低臭性の物質に変化させます。例えば、硫化水素(腐卵臭)を酸化して硫酸塩などに変えます。
      • 還元: 酸化された臭い物質を還元させることで、臭いをなくします。
      • 中和: 酸性の臭いにはアルカリ性の物質、アルカリ性の臭いには酸性の物質を反応させて中和し、臭いを弱めます。例えば、アンモニア(アルカリ性)には酸性の物質が有効です。
    • 特徴:
      • 即効性が期待できるものが多いです。
      • 強い臭いにも効果を発揮しやすいです。
      • 成分によっては刺激性があったり、漂白作用があったりするため、使用方法に注意が必要です。

    3. 酵素系消臭剤

    • 主な成分: タンパク質分解酵素、脂肪分解酵素、アミラーゼなど
    • 消臭メカニズム:
      • 臭いの原因となる有機物を、それぞれの酵素が分解します。
      • 例えば、タンパク質分解酵素は汗や体臭、ペットの糞尿などに含まれるタンパク質を分解します。脂肪分解酵素は油汚れから発生する臭いに効果があります。
    • 特徴:
      • 特定の有機物に対して高い効果を発揮します。
      • 比較的人体に優しいとされるものが多いです。
      • 効果が出るまでに時間がかかる場合があります。

    4. マスキング系消臭剤

    • 主な成分: 香料
    • 消臭メカニズム:
      • 強い香りを放つことで、元の臭いを覆い隠します。
      • 臭い成分と化学反応を起こすわけではないため、根本的な解決にはなりません。
    • 特徴:
      • 即効性があります。
      • 手軽に使用できます。
      • 香りの好みは個人差があります。
      • 臭いが強い場合は、香りが混ざって不快な臭いになることもあります。

    5. 吸着系消臭剤

    • 主な成分: 活性炭、ゼオライト、シリカゲルなど多孔質の物質
    • 消臭メカニズム:
      • 臭いの原因となる物質を、これらの物質の持つ微細な穴に吸着して閉じ込めます。
      • 物理的な吸着作用によるため、化学反応は起こりません。
    • 特徴:
      • 安全性が高いものが多いです。
      • 効果が出るまでに時間がかかる場合があります。
      • 吸着容量には限界があるため、定期的な交換や天日干しなどが必要な場合があります。

    6. 中和系消臭剤

    • 主な成分: 酸性の物質(酢酸など)、アルカリ性の物質(重曹など)
    • 消臭メカニズム:
      • 酸性の臭いにはアルカリ性の物質を、アルカリ性の臭いには酸性の物質を反応させて中和し、臭いを弱めます。
      • 例えば、魚の臭い(アミン類などのアルカリ性)にはお酢(酸性)が有効です。
    • 特徴:
      • 特定の臭いに効果的です。
      • 使用する物質によっては、素材を傷める可能性があるため注意が必要です。

    1. バイオ系消臭剤

    • より具体的な成分例:
      • 微生物: 乳酸菌、酵母菌、光合成細菌、バチルス菌など、特定の臭い成分を分解する能力を持つ微生物が利用されます。
      • 酵素: プロテアーゼ(タンパク質分解)、リパーゼ(脂肪分解)、アミラーゼ(炭水化物分解)、セルラーゼ(繊維分解)など、臭いの原因となる特定の有機物を分解する酵素が配合されます。
      • 植物抽出物: 植物由来の成分が、微生物の活性を助けたり、直接的な消臭効果を発揮したりします。
    • 適用例:
      • 生ゴミ: 微生物が生ゴミの腐敗臭を分解します。
      • ペット臭: ペットの糞尿や体臭に含まれる有機物を分解します。
      • トイレ臭: アンモニアなどの臭い成分を微生物や酵素が分解します。
      • 排水口の臭い: 排水管に付着した有機物を微生物が分解します。
    • メリット:
      • 自然由来の成分が多く、環境負荷が低いとされるものが多いです。
      • 継続的に効果を発揮する可能性があります(微生物が繁殖する場合)。
      • 特定の臭いに対して高い効果が期待できます。
    • デメリット:
      • 効果が出るまでに時間がかかる場合があります。
      • 保管条件(温度、湿度など)によって効果が左右されることがあります。
      • 強烈な臭いには効果が弱い場合があります。
      • 全ての種類の臭いに有効とは限りません。

    2. 化学反応系消臭剤

    • より具体的な成分例:
      • 酸化剤:
        • オゾン (O₃): 強力な酸化力で、広範囲の臭い物質を分解します。脱臭力が高いですが、高濃度では人体に有害です。
        • 次亜塩素酸ナトリウム (NaClO): 漂白作用と除菌効果があり、トイレや排水口の臭いに用いられます。塩素系の刺激臭があります。
        • 二酸化塩素 (ClO₂): 酸化力があり、空間の除菌・消臭に用いられます。濃度によっては刺激臭があります。
        • 過酸化水素 (H₂O₂): 分解時に酸素を発生し、臭い物質を酸化します。
        • 過マンガン酸カリウム (KMnO₄): 強力な酸化剤で、特定の悪臭に用いられます。
      • 還元剤:
        • 亜硫酸ナトリウム (Na₂SO₃): 酸化性の臭い物質を還元して無臭化します。
      • 中和剤:
        • 酸性物質 (酢酸、クエン酸): アルカリ性のアンモニア臭などに効果があります。
        • アルカリ性物質 (重曹): 酸性の腐敗臭などに効果があると言われています。
    • 適用例:
      • タバコ臭: オゾンや酸化系の消臭剤が用いられます。
      • ペット臭: 酸化系や中和系の消臭剤が用いられます。
      • トイレ臭: 酸化系や中和系の消臭剤が用いられます。
      • カビ臭: 酸化系の消臭剤が用いられます。
      • 腐敗臭: オゾンや酸化系の強力な消臭剤が用いられることがあります。
    • メリット:
      • 即効性が高いものが多いです。
      • 広範囲の臭いに効果を発揮しやすいです。
      • 強力な脱臭効果が期待できます。
    • デメリット:
      • 成分によっては刺激性や毒性がある場合があります。
      • 漂白作用がある場合があり、使用場所を選ぶ必要があります。
      • 金属を腐食させる可能性があるため、使用場所に注意が必要です。
      • 使用時の換気が非常に重要です。

    3. 酵素系消臭剤

    • より具体的な酵素例:
      • プロテアーゼ: タンパク質を分解し、汗、体臭、血液、ペットの糞尿などの臭いに効果を発揮します。
      • リパーゼ: 油脂を分解し、油汚れや食品の腐敗臭に効果を発揮します。
      • アミラーゼ: デンプンを分解し、食べこぼしなどの臭いに効果を発揮します。
      • セルラーゼ: 繊維を分解し、衣類などに染み付いた臭いに効果を発揮することがあります。
      • ウレアーゼ: 尿素を分解し、アンモニア臭を軽減する効果があります。
    • 適用例:
      • 汗臭・体臭: 衣類、寝具、スポーツ用品など。
      • ペットの糞尿: カーペット、フローリングなど。
      • 食べこぼし: 衣類、カーペットなど。
      • 油汚れ: キッチン周り、衣類など。
    • メリット:
      • 特定の汚れや臭いに高い効果を発揮します。
      • 比較的人体に優しいとされるものが多いです。
      • 残留性が低いものが多いです。
    • デメリット:
      • 効果発現に時間がかかる場合があります。
      • 熱やpHの変化に弱い場合があり、使用環境に注意が必要です。
      • 全ての種類の臭いに有効とは限りません。

    4. マスキング系消臭剤

    • より具体的な成分例:
      • 天然精油: ラベンダー、ユーカリ、シトラスなど、植物由来の香り成分。
      • 合成香料: フローラル系、フルーティー系など、人工的に作られた香り成分。
    • 適用例:
      • 室内空間の芳香。
      • 一時的に気になる臭いを隠したい場合。
      • 香りによるリラックス効果や気分転換を目的とする場合。
    • メリット:
      • 手軽にスプレーするだけで使用できます。
      • 好みの香りを選べます。
      • 即効性があります。
    • デメリット:
      • 根本的な臭いを除去するわけではありません。
      • 香りが苦手な人もいます。
      • 強い臭いの場合、香りと混ざって不快な臭いになることがあります。

    5. 吸着系消臭剤

    • より具体的な成分例:
      • 活性炭: 無数の微細な穴を持ち、様々な臭い物質を吸着します。
      • ゼオライト: 天然鉱物で、イオン交換作用と吸着作用により臭い物質を取り込みます。
      • シリカゲル: 多孔質の構造を持ち、湿気とともに臭い物質を吸着します。
      • 備長炭: 炭の中でも特に吸着力が高いとされています。
    • 適用例:
      • 冷蔵庫: 食品の臭いを吸着します。
      • 靴箱: 汗や湿気による臭いを吸着します。
      • トイレ: アンモニア臭などを吸着します。
      • 室内の空気清浄: ホルムアルデヒドなどの有害物質や生活臭を吸着します。
    • メリット:
      • 電気を使わず、安全に使用できます。
      • 比較的安価に入手できます。
      • 香りがないため、香りに敏感な人にも使いやすいです。
    • デメリット:
      • 効果が出るまでに時間がかかる場合があります。
      • 吸着容量に限界があるため、定期的な交換や天日干しなどによるメンテナンスが必要です。
      • 湿度が高い場所では効果が低下する場合があります。

    6. 中和系消臭剤

    • より具体的な成分例:
      • 酸性: 酢、クエン酸、レモン汁など。
      • アルカリ性: 重曹、セスキ炭酸ソーダなど。
    • 適用例:
      • 生ゴミ臭(酸性臭): 重曹などが用いられます。
      • 魚の臭い(アミン類などのアルカリ性臭): 酢やレモン汁などが用いられます。
      • トイレ臭(アンモニアなどのアルカリ性臭): クエン酸などが用いられます。
    • メリット:
      • 特定の臭いにピンポイントで効果を発揮します。
      • 環境に優しい素材を使用できる場合があります。
    • デメリット:
      • 臭いの種類を特定する必要があります。
      • 使用する素材によっては、対象物を傷める可能性があるため注意が必要です。

    これは僕の主観ですが、プロが使う消臭剤で多いのは。

    ・化学反応系消臭剤

    ・酵素系消臭剤

    ・バイオ系消臭剤

    の三種類ではないでしょうか?

    吸着系にかんしては消臭剤というよりは脱臭装置として働くものが多く、業販品で多い「置くだけで消臭」てきな製品がありますが、消臭のプロで「置き型、吸着型」を使用する人は非常に少ないと感じます。

    また、お掃除業者向けビルメンテナンス業者向けに洗剤メーカーさんが消臭剤はあれこれ作っています。しかし洗剤メーカーさんが作っている消臭剤は「ニオイのもと」に作用する製品が少ない印象があります。

    スプレーした時は一時的に臭いが消えるが時間経過でニオイが戻ってくる。そもそも効果を発揮しないニオイがあるなど。

    僕が愛用している消臭剤はカルモア社製のマイクロゲルです。マイクロゲルは1600トンも出荷されている業務用消臭剤でも非常に人気の製品です。種類でいうなら化学反応系消臭剤になります。

    臭い分子を化学的に分解したりする仕組みです。ここまで高分子構造の消臭剤は他にも少ないと感じます。

    ただマイクロゲルは使い方が難しいのか?「上手く使えない」なんて声もチラチラ聞きます。

    それはそれで仕方ないですが、みなさんも「消臭」を業務として行うならプロが使っている消臭剤を使用するのが良いと思います。インターネットで評判の良い消臭剤でも、プロで使っている人はほぼ居ない。という製品も多いです。どんなに評価が良くても消臭のプロが使わないという事は何か理由があるはずです。

    消臭剤は消臭業者の強い武器になります。しかし「何のニオイを消したいか?」これが明確でなければ選定が出来ません。

    消臭剤一種類であらゆるニオイに効果を発揮する。というような製品はありません。

    プロの現場では消臭剤も何種類も使い分けますし、現場において「初期段階」「中期段階」「最終段階」などステージにより消臭剤を使い分けることも多いです。

    これに加えて「オゾンガス燻蒸」「前処理作業」「吸着装置による臭気の吸着」など様々な工程を組み込んで実際の施工は行われます。

    ですので、「何のニオイを消したいか?」を明確にし、さらに「どのような工程で進める予定か?」施工計画を作成し、そのステージステージにマッチした消臭剤や補助剤を使用するのが理想的です。

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