除菌消毒作業
インフルエンザや新型コロナウイルス、ノロウイルスなどなど日常生活で皆さんが感染する可能性のあるウイルスは様々です。特にノロウイルスは感染力が非常に強く、食中毒や感染性胃腸炎の原因としてよく知られています。
特に保育園や飲食店、その他不特定多数の人が出入りする施設ではウイルスに起因する病気が集団で発生すると営業を止めなければいけないなど弊害も多いです。
ノロウイルスはアルコール消毒があまり効果がないウイルスとしても知られています。
ノロウイルスは、エンベロープという脂質の膜を持たない「ノンエンベロープウイルス」に分類されます。アルコール消毒はエンベロープを持つウイルスには有効ですが、ノンエンベロープウイルスには効果が低いとされています。
また、ノロウイルスは非常に少量でも感染を引き起こすため、徹底的な除菌が必要です。乾燥や低温にも強く、環境中で比較的長く生存できるのも、除菌を難しくする要因の一つです。
除菌消毒の施工業者
なにか病気が発生しても保健所などでは業者の斡旋まではしてくれないのが一般的です。
みなさんそれぞれで消毒業者を探されると思います。
施工方法は業者さんにより様々ですが、消毒業界では大まかにいくつかのジャンルに分かれると思います。
- 害虫駆除業者さんなどペストコントロール業者さんと呼ばれる業者さん
- ビルメンテナンス業者さん(感染制御衛生管理士など)
- 特殊清掃業者さん(民間の認定資格で除菌を学んだ人たち)
- IICRCという国際的な衛生管理や清掃関係の団体で学んだ人たち
何が違うのか?
それぞれ何が違うのか?
基本的には皆さん似たり寄ったりですが、根拠とするエビデンスに若干の違いがあるように感じます。
害虫駆除業者さんとビルメン業者さんはとても似た施工方法であると思います。特殊清掃業者さんとIICRCの消毒方法はまた違った種類ですね。
日本では新型コロナウイルスやノロウイルス、その他の感染症対策と言えば次亜塩素酸ナトリウムの使用以外公的には認められていない部分があります。他の薬品の効果を認めてないけど何でもかんでも次亜塩素酸ナトリウムがいい、みたいな風潮が日本にはありますね。

感染症に対する対処方法をちょっとだけまとめます
まずは最近北海道で増えているノロウイルスに関して
加熱処理
- ノロウイルスは熱に弱いウイルスです。85℃~90℃で90秒以上の加熱で、感染性を失わせることができます。
- 調理器具や食器などは、煮沸消毒が有効です。まな板や包丁などは熱湯をかけて消毒することもできます。
- 衣類やリネン類は、85℃以上の熱湯で1分以上の洗濯、または乾燥機の使用が有効です。
- ただし、嘔吐物や排泄物など、ウイルス濃度が高いものに対しては、加熱処理だけでは不十分な場合があります。
塩素系消毒剤
- 次亜塩素酸ナトリウムを主成分とする塩素系消毒剤は、ノロウイルスに対して非常に有効です。
- 家庭用塩素系漂白剤(キッチンハイター、ブリーチなど)を薄めて使用します。
- 使用濃度:
- 嘔吐物・排泄物の処理: 0.1%(1000ppm)程度の濃度で使用します。 例:塩素系漂白剤の原液を水で約100倍に薄める (製品によって濃度が異なるので、表示を確認してください)
- ドアノブ、手すり、トイレの便座など環境表面の消毒: 0.02%(200ppm)程度の濃度で使用します。 例:塩素系漂白剤の原液を水で約500倍に薄める (製品によって濃度が異なるので、表示を確認してください)
みたいな感じが日本では公式認定みたいな感じです。
世界的にみると
AHPといわれる薬剤が人気だと思います。日本でも病院などでも実際はAHPを使用しているが建前は次亜塩素酸ナトリウムを使っている体にしている。みたいな現実が多かったりします。
それほどAHP製剤は効果が優れていると僕は思います。
加速化過酸化水素(AHP)とは?
加速化過酸化水素(Accelerated Hydrogen Peroxide: AHP)とは、過酸化水素に特定の成分を組み合わせることで、除菌力を高めたものです。通常の過酸化水素よりも、より短時間で、より広範囲のウイルスや細菌に効果を発揮するとされています。
AHPの主な特徴は以下の通りです。
- 高い除菌力: 細菌、ウイルス、真菌など、幅広い微生物に対して有効です。特に、ノロウイルスのようなノンエンベロープウイルスにも効果を発揮することが特徴です。
- 速効性: 短時間で除菌効果を発揮するため、日常的な清掃や緊急時の対応に適しています。
- 安全性: 主成分は過酸化水素と水、酸素に分解されるため、環境負荷が低いとされています。また、低濃度で使用する場合、人体への刺激も少ないとされています。(ただし、製品や濃度によっては注意が必要です。)
- 素材へのやさしさ: 金属腐食性が低く、様々な材質の表面に使用しやすいとされています。(ただし、材質によっては変色や劣化の可能性があるため、事前に確認が必要です。)
- 残留性の低さ: 分解性が高いため、拭き残しの心配が少ないとされています。
ノロウイルスに対するAHPの効果
ノロウイルスは、アルコール消毒が効きにくいノンエンベロープウイルスとして知られています。一方で、AHPはノンエンベロープウイルスに対しても高い効果を発揮することが研究で示されています。
AHPのノロウイルスに対する効果のメカニズムは、主に以下の通りです。
- ウイルス構造の破壊: AHPは、ウイルスのタンパク質や核酸に作用し、構造を破壊することで感染力を失わせます。
- 酸化作用: 過酸化水素の酸化作用により、ウイルスを不活化します。加速化された過酸化水素は、より強力な酸化力を発揮し、短時間で効果を発揮します。
複数の研究データや製品情報から、AHPは適切な濃度と接触時間で使用することで、ノロウイルスに対して有効な除菌効果が期待できます。
AHPによる新型コロナウイルス除菌のメカニズム
AHPが新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を不活化するメカニズムは、主に以下の通りです。
- エンベロープの破壊: 新型コロナウイルスは、エンベロープという脂質性の膜で覆われた「エンベロープウイルス」です。AHPの主成分である過酸化水素は、強力な酸化作用により、ウイルスのエンベロープを構成する脂質を酸化・分解します。エンベロープが破壊されると、ウイルスは感染力を失います。
- スパイクタンパク質の変性: 新型コロナウイルスの表面には、ヒト細胞の受容体(ACE2受容体など)に結合するためのスパイクタンパク質が存在します。AHPは、スパイクタンパク質を構成するアミノ酸残基を酸化し、タンパク質の立体構造を変化させます。これにより、スパイクタンパク質が受容体に結合できなくなり、ウイルスは細胞への侵入能を失います。
- ウイルスRNAの損傷: 過酸化水素は、ウイルスゲノムであるRNAにも作用し、RNA鎖を切断したり、変質させたりする可能性があります。遺伝情報が損傷を受けることで、ウイルスは複製能力を失い、不活化されます。
- 酸化ストレスによる不活化: AHPは、ウイルス内部に酸化ストレスを引き起こし、ウイルスの生存に必要な酵素やタンパク質の機能を阻害すると考えられています。
- AHPの新型コロナウイルスに対する効果
- 多数の研究や試験データから、AHPは新型コロナウイルスに対して有効な除菌効果を発揮することが確認されています。
- 不活化効果の試験: 試験管内での実験や、実際の環境表面における試験において、AHP製剤が短時間で新型コロナウイルスの感染価を大幅に減少させることが示されています。
- 接触時間: 製品によって推奨される接触時間は異なりますが、一般的に30秒~5分程度の接触時間で、99.9%以上のウイルス不活化効果が期待できます。
- 濃度: 新型コロナウイルス対策として使用する場合、0.5%~3%程度の過酸化水素濃度のAHP製剤が推奨されることが多いです。製品の指示に従い、適切な濃度で使用してください。
- エンベロープウイルスの代表格であるコロナウイルスへの有効性: エンベロープを持つウイルスは、一般的にアルコール消毒剤や界面活性剤に対して比較的感受性が高いとされています。AHPは、エンベロープ破壊に加えて、タンパク質変性や遺伝子損傷など、多角的なメカニズムでウイルスを攻撃するため、より確実な不活化効果が期待できます。
- AHPの利点:新型コロナウイルス対策として
- 新型コロナウイルス対策にAHPを使用するメリットは、以下の点が挙げられます。
- アルコール消毒剤よりも広いスペクトラム効果: アルコール消毒剤は、ノンエンベロープウイルス(ノロウイルスなど)に対して効果が低い場合がありますが、AHPはエンベロープウイルス、ノンエンベロープウイルスの両方に有効です。
- 速効性: AHPは、短時間で除菌効果を発揮するため、頻繁な消毒作業が必要な場所に適しています。
- 残留性が低い: 分解後は水と酸素になるため、拭き残しの心配が少なく、環境や人体への影響も比較的少ないとされています。
- 低臭気: 塩素系消毒剤のような刺激臭が少ないため、使用時の不快感が軽減されます。
- 素材へのやさしさ: 金属腐食性が低く、様々な材質に使用できるため、広範囲の場所や物品の消毒に適しています。
AHPのメリット
除菌にAHPを使用するメリットとしては、主に以下の点が挙げられます。
- 塩素系消毒剤に比べて安全性が高い: 塩素系消毒剤(次亜塩素酸ナトリウム)は、効果が高い一方で、刺激臭や金属腐食性、色落ちなどのデメリットがあります。AHPは、一般的に塩素系消毒剤よりも低刺激で、金属腐食性も低いとされています。換気や保護具の着用などの注意も、塩素系消毒剤ほど厳重でなくても済む場合があります。(製品による)
- 幅広い材質に使用可能: 塩素系消毒剤に比べて、AHPは使用できる材質の種類が多いとされています。ドアノブ、手すり、トイレの便座、床、壁、家具、調理器具など、様々な場所の除菌に使用できます。
- 二度拭きが不要な場合がある: AHPは分解性が高いため、製品によっては二度拭きが不要な場合があります。これにより、作業効率が向上し、拭き残しの心配も軽減されます。
- 環境にやさしい: 分解後は水と酸素になるため、環境負荷が低いとされています。
除菌剤による清拭だけではエラーがでる
例えばとても広い体育館や会議室、飲食店の店舗、ホテルなど広くて備品が多い建物を除菌剤で全て清拭するとなると、どれだけ気を付けてもヒューマンエラーといいますか拭き忘れる個所が出たり、手が届かない箇所は拭かない。テーブルの下を拭き忘れるなど消毒漏れの個所が出る可能性は低くありません。
除菌剤の空間噴霧は日本でも世界でも「効果がある」という信憑性のあるデータはあまりありません。よく新型コロナウイルス消毒で除菌剤を噴霧器で室内に噴霧する写真とか、煙もくもくで消毒する写真とかがありますが、これも「エビデンス」という観点では「何とも言えない」というのが現実ではないでしょうか?
民間の試験では効果があるというデータもない事は無いですが、その効果を疑問視する声が非常に多いです。
Beクリーンではこの点も踏まえてオゾンガスによる除菌も併用しています。
清拭とオゾンガス燻蒸のハイブリッド工法です。また必要に応じてルミテスターによるふき取り検査も行います。
ルミテスターでウイルスなどは調べられませんが、ノロウイルスなどの原因につながる清浄度は見える化可能ですので一定の基準として安心感はあります。ルミテスターによる検査を日常的に行っている大手の企業は数知れずで、それほど信頼性が高い検査であるといってもいいと思います。

オゾンガスに関してはエビデンスもありますし、救急車に標準搭載している消防局もあります。
オゾンガスの特性と除菌の原理
まず、オゾンガスとはどのような物質で、なぜ除菌効果があるのかについて解説します。
- オゾン (O₃) とは: オゾンは酸素原子が3つ結合した分子で、化学式はO₃と表されます。大気中にも微量に存在しますが、雷や紫外線などの影響で生成されます。特有の刺激臭を持つ無色または淡青色の気体です。
- 強力な酸化力: オゾンの最大の特徴は、非常に高い酸化力を持つことです。不安定な分子構造のため、容易に分解して酸素 (O₂) と原子状酸素 (O) を生成します。この原子状酸素が、他の物質と反応する際に強力な酸化作用を発揮します。
- 除菌のメカニズム(酸化作用): オゾンガスが微生物(細菌、ウイルス、真菌など)に接触すると、その強力な酸化力によって微生物の細胞膜や核酸などを構成する有機物を酸化・分解します。これにより、微生物の構造や機能が破壊され、不活化に至ります。
オゾンガスによるノロウイルスの不活化メカニズム
ノロウイルスは、エンベロープ(脂質性の膜)を持たない「ノンエンベロープウイルス」に分類されます。アルコール消毒があまり効果がないウイルスとしても知られていますが、オゾンガスはエンベロープの有無に関わらず、幅広いウイルスに有効です。ノロウイルスに対する具体的な不活化メカニズムは以下の通りです。
- ウイルス構造タンパク質の酸化: ノロウイルスの表面を覆うカプシド(タンパク質)は、ウイルスが細胞に感染するために重要な役割を果たしています。オゾンガスは、このカプシドタンパク質を構成するアミノ酸残基(特にシステインやメチオニンなど)を酸化します。タンパク質の構造が変化することで、ウイルスの感染力が失われます。
- スパイクタンパク質の変性: ウイルス表面のスパイクタンパク質は、ヒト細胞への侵入に不可欠な役割を果たします。オゾンガスは、スパイクタンパク質を構成するアミノ酸を酸化し、タンパク質の形状を変化させることで、細胞への吸着・侵入を阻害します。
- ウイルスRNAの損傷: ノロウイルスの遺伝情報はRNAとして保持されています。オゾンガスは、RNA分子中の核酸塩基やリボースを酸化し、RNA鎖を切断したり、変質させたりします。遺伝情報が損傷を受けることで、ウイルスは複製能力を失い、不活化されます。
- RNAゲノムの損傷: ウイルスの遺伝情報であるRNAも、オゾンガスの酸化作用によって損傷を受けます。RNAが損傷すると、ウイルスの複製能力が失われ、不活化につながります。
- カプシドとRNAの複合体の破壊: カプシドタンパク質とRNAは複合体を形成していますが、オゾンガスはこれらの複合体を破壊し、ウイルス粒子の構造を全体的に崩壊させると考えられています。
- タンパク質と核酸の架橋: オゾンは、ウイルス内部のタンパク質と核酸を架橋させることで、ウイルスの構造を破壊し、不活化を促進するというメカニズムも提唱されています。
除菌は万能ではない
問題が起きたときに除菌を依頼されるお客様も多いですが、やはり普段からキレイにしておくのが一番だと思います。
こんなことを僕が言うのは良くないかもしれませんが、現場に行くと「これは消毒以前の問題では?」と感じるくらい不衛生な状況も多いです。
あまりにも汚れているといくら除菌消毒を行ってもすぐに菌は繁殖します。それに一旦は除菌されてもなんらかの菌を持っている人が入室しあちこち触る、くしゃみをするなど、そんなことで簡単に菌は増えてしまいます。
なので僕のオススメは
普段からキレイにしておくこと。
除菌装置を設置する(これも万能ではありませんがあるのとないのでは雲泥の差です)

このWK-800なんかはとても素晴らしいと思います。
Beクリーンも実はカルモアさんの販売代理店ですので販売可能です。販売実績もありますが多くの方が「空気が変わった」「空気が軽くなった」と第一声で言ってくれます。他の販売代理店さんも「販売しててなんだけど、この機械は本当にすごいよね」と言っています。僕も「これスゲーな」と思います。
それにしても繰り返しにはなりますが、普段からキレイにしておく、消毒はマメに行う、手を洗う、うがいをする、というのが一番オススメではあります。
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