カビ対策

目次

ここ数年カビに関するお問い合わせがとても増えています。

カビは放置すると人体への影響は勿論、建物の寿命を縮めるなど色々な面で良くない存在です。

Beクリーンのカビ処理は薬剤を使った処理、オゾンガスによる処理、防カビ剤によるカビ防止など多段階工程で薬剤のデメリットを補い、オゾンのデメリットを補い、など処理漏れが出ないように確実に施工するのが特徴です。

カビキラーなどの次亜塩素系薬剤で処理するだけのカビ処理ではカビの色素が抜けて白くなりキレイになったように感じますが、不十分な場合が多いです。使用する薬剤や対象の場所によっては処理後、数時間から数日でカビ菌が再発するケースも多いです。

カビ処理で使われる代表的な薬剤(次亜塩素以外)についてみてみます

スクロールできます
成分特徴メリットデメリット次亜塩素酸ナトリウムとの比較主な製品例
エタノールアルコールの一種。揮発性が高く、カビのタンパク質を凝固させて除菌。比較的安全性が高い、速乾性、二度拭き不要効果が穏やか、広範囲のカビには不向き、引火性漂白作用なし、低刺激アルコール除菌スプレー、消毒用エタノール
過炭酸ナトリウム酸素系漂白剤。水に溶けると酸素を発生し、カビの色素を分解して漂白・除菌。漂白・除菌効果、消臭効果、環境負荷が低い効果が出るまで時間がかかる、素材によっては色落ちの可能性、アルカリ性漂白作用あり(穏やか)、弱アルカリ性オキシクリーン、酸素系漂白剤
二酸化塩素酸化力でカビの細胞膜を破壊して除菌。低濃度でも効果あり、持続性がある独特の臭い、高濃度では刺激性、換気が必要漂白作用なし、中性~弱酸性クレベリン、除菌・消臭ゲル
界面活性剤表面張力を弱めてカビの構造を破壊し、剥離・除菌を促す。素材への負担が少ない、泡タイプで密着しやすい除菌力は比較的穏やか、カビの色素は分解できない漂白作用なし、中性~弱アルカリ性カビ取りマジックリン、バスマジックリン泡立ちスプレー
植物由来成分天然の植物から抽出した成分で、抗菌・防カビ効果を持つもの。香りが良いものが多い、安心感があるイメージ効果は穏やかなものが多い、価格が高い傾向漂白作用なし、中性~弱酸性カビバリア、アロマ防カビミスト
乳酸食品にも使われる有機酸。カビの生育を抑制する効果。食品添加物にも使用される成分、比較的安全効果が穏やか、酸性のため金属腐食の可能性漂白作用なし、酸性カビッシュトレール、お風呂の防カビスプレー
GSEグレープフルーツの種子から抽出される天然成分。抗菌・抗ウイルス・抗カビ効果を持つ。天然由来で安心、比較的広範囲の菌やウイルスに効果効果は穏やかなものが多い、独特の苦味漂白作用なし、中性~弱酸性アルコール除菌剤(GSE配合)、食品添加物製剤

こんな感じで次亜塩素以外でも選択肢は意外とあったりします。他にも専門的な薬剤なんかもありさらに選択肢はありますが、一般的なもので言うと上の表のような感じになるのかな?と思います。

漂白作用無し。と記載されているものが多いですが、実はカビって漂白されなくても除菌は出来るんです。除菌したあとも黒いままの場合もありますが、黒い色素が残るだけで除菌はされている。カビ除菌=白くなる。というのは間違ったイメージだと言えます。

細胞膜の破壊

カビの細胞は、外側を細胞膜という膜で覆われています。この細胞膜は、リン脂質やタンパク質などを主成分としており、細胞内外の物質のやり取りをしたり、細胞の形を維持したりする重要な役割を担っています。

オゾンガスがカビの細胞膜に接触すると、強力な酸化力によって細胞膜を構成する不飽和脂肪酸タンパク質と反応します。具体的には、以下のような反応が起こります。

  • オゾンと不飽和脂肪酸の反応(オゾン分解): 細胞膜のリン脂質に含まれる不飽和脂肪酸の二重結合部分にオゾンが 攻撃し、結合を切断します。これにより、細胞膜の構造が破壊され、膜のバリア機能が失われます。

(オゾン分子が不飽和脂肪酸の二重結合に反応し、結合が切断される様子のイメージ)

  • オゾンとタンパク質の反応(タンパク質変性・酸化): 細胞膜タンパク質のアミノ酸残基(特にシステインやメチオニンなど)がオゾンによって酸化され、タンパク質の立体構造が変化(変性)したり、機能が失われたりします。これも細胞膜の機能不全につながります。

細胞膜が破壊されると、細胞内部の物質が外部に漏れ出し、外部の有害物質が細胞内に侵入しやすくなります。これは、カビ細胞にとって致命的なダメージとなります。

細胞内成分の酸化損傷

オゾンガスは、細胞膜を破壊するだけでなく、ある程度細胞内にも浸透します。細胞内に侵入したオゾンは、細胞内の様々な成分を酸化させ、損傷を与えます。主な標的となるのは、以下の成分です。

  • 酵素タンパク質の酸化: カビ細胞内の代謝や生命活動に必要な酵素はタンパク質で構成されています。オゾンはこれらの酵素タンパク質を酸化し、酵素の活性部位の構造を変化させたり、タンパク質全体を変性させたりすることで、酵素の機能を阻害します。代謝経路が遮断されると、カビは生存に必要なエネルギーや物質を生成できなくなり、最終的に死滅します。
  • 核酸(DNA、RNA)の損傷: オゾンは、DNAやRNAといった核酸にも作用し、塩基部分や糖鎖部分を酸化損傷させることが知られています。DNAが損傷を受けると、遺伝情報が破壊され、細胞の複製やタンパク質合成が正常に行えなくなります。RNAも同様に、タンパク質合成に関わる情報伝達機能を失います
  • 細胞質成分の酸化: 細胞質 में存在する様々な有機化合物(低分子化合物や高分子化合物)も、オゾンによる酸化攻撃を受けます。これにより、細胞内の環境が大きく乱れ、正常な生命活動が維持できなくなります。

これらの細胞内成分への広範な酸化損傷は、カビ細胞の機能を根幹から破壊し、不可逆的なダメージを与えます。

細胞膜破壊のメカニズムの詳細

カビの細胞膜は、主にリン脂質二重層と、そこに埋め込まれた膜タンパク質で構成されています。リン脂質は、親水性のリン酸基と疎水性の脂肪酸鎖から成り立っており、脂肪酸鎖の中でも特に不飽和脂肪酸は、炭素間の二重結合を持つため、オゾンとの反応性が非常に高い部位となります。

  • オゾンの不飽和脂肪酸への攻撃:オゾン分解反応 (Ozonolysis) オゾン(O₃)分子が不飽和脂肪酸の炭素-炭素二重結合(C=C)に作用すると、オゾニドという不安定な五員環状構造の中間体が生成されます。 このオゾニドは非常に不安定で、速やかに分解され、最終的にアルデヒドケトンカルボン酸などの低分子化合物と、**過酸化水素(H₂O₂)**のような活性酸素種を生成します。
  • この一連のオゾン分解反応は、細胞膜のリン脂質構造を根本的に破壊します。細胞膜に穴が開き、細胞内容物の漏洩、細胞外からの物質の侵入を引き起こし、細胞の恒常性維持機能を著しく損ないます。
  • 膜タンパク質の酸化変性 細胞膜に存在する膜タンパク質も、オゾンによる酸化攻撃の標的となります。特に、タンパク質を構成するアミノ酸の中でも、システインメチオニントリプトファンチロシンなどは、硫黄原子や芳香環を持ち、オゾンと反応しやすい側鎖を持っています。 オゾンがこれらのアミノ酸残基を酸化すると、タンパク質のジスルフィド結合の切断、側鎖の酸化タンパク質凝集などが起こり、タンパク質の立体構造が変化します。その結果、膜タンパク質の本来の機能(物質輸送、シグナル伝達、構造維持など)が失われ、細胞膜の機能不全をさらに悪化させます。
  • 細胞内成分への酸化損傷の詳細
  • 細胞膜の破壊に加えて、細胞内に侵入したオゾンは、細胞内の様々な重要な分子にも深刻なダメージを与えます。
  • 酵素タンパク質の機能阻害 カビ細胞内には、代謝、エネルギー産生、物質合成、DNA複製、タンパク質合成など、生命維持に不可欠な数多くの酵素が存在します。これらの酵素もタンパク質で構成されており、細胞膜タンパク質と同様に、オゾンによる酸化変性を受けます。 酵素の活性中心や、立体構造維持に重要な部位が酸化されると、酵素は触媒活性を失い、特定の代謝経路がブロックされます。例えば、解糖系、クエン酸回路、電子伝達系などのエネルギー産生に関わる酵素が阻害されると、ATP産生が低下し、細胞はエネルギー不足に陥ります。また、DNA複製やタンパク質合成に必要な酵素が損傷を受けると、細胞の自己複製や修復機能が停止します。
  • 核酸(DNA、RNA)の遺伝情報破壊 細胞の核内には、遺伝情報を担うDNAが存在します。DNAは二重らせん構造を持ち、塩基、デオキシリボース、リン酸から構成されています。オゾンは、DNAの塩基(特にグアニンやチミンなど)やデオキシリボース部分に反応し、酸化損傷を引き起こします。
  • DNAが損傷を受けると、塩基の構造変化: グアニンが8-オキソグアニンに変化するなど、塩基の化学構造が変化し、DNAの塩基対形成が阻害され、遺伝情報が誤って読み取られる原因となります(変異の誘発)。
  • DNA鎖の切断: オゾンによる酸化ストレスは、DNA鎖の切断(一本鎖切断、二本鎖切断)を引き起こす可能性があります。二本鎖切断は、染色体異常や細胞死に直結する深刻な損傷です。
  • DNAとタンパク質の架橋形成: オゾンは、DNAとヒストンなどのタンパク質を架橋させる可能性があります。これにより、DNAの複製や転写が阻害されます。
  • RNAもDNAと同様に、オゾンによる酸化損傷を受けやすく、mRNA、tRNA、rRNAなどの機能が損なわれると、タンパク質合成が阻害されます。
  • 細胞質成分の酸化ストレス
  • 細胞質には、グルコース、アミノ酸、脂肪酸、ビタミン、ミネラルなど、様々な低分子化合物や、多糖、脂質、核酸、タンパク質などの高分子化合物が溶解しています。オゾンはこれらの細胞質成分とも広範囲に反応し、酸化ストレスを引き起こします。
  • 細胞質内の酸化還元バランスが崩れ、過剰な活性酸素種(ROS)が生成されると、脂質過酸化タンパク質カルボニル化糖化反応などが亢進し、細胞機能が広範に阻害されます。特に、脂質過酸化は、細胞膜のさらなる損傷や、二次的なラジカル連鎖反応を引き起こし、細胞全体にダメージを拡大します。

カビの胞子への影響

カビは、胞子という繁殖のための構造を生成します。胞子は、乾燥や熱、化学薬品などの過酷な環境にも耐性があり、カビの生育において非常に重要な役割を果たします。

オゾンガスは、カビの菌糸だけでなく、この胞子にも有効に作用します。オゾンガスが胞子の表面構造や内部成分を酸化損傷させることで、胞子の発芽能力を奪い、カビの繁殖を抑制します。

胞子表面構造の損傷: オゾンは、胞子表面の外膜細胞壁を構成する成分(キチン、グルカン、メラニンなど)を酸化し、構造的なダメージを与えます。胞子表面のバリア機能が低下すると、胞子内部にオゾンが浸透しやすくなります。 胞子内成分の酸化: 胞子内部にも、菌糸細胞と同様に、DNA、RNA、タンパク質、脂質などの生体分子が存在します。浸透したオゾンは、これらの胞子内成分を酸化損傷させ、特にDNAの損傷は、胞子の発芽能力を直接的に阻害すると考えられています。 休眠機構の解除阻害: 胞子は、休眠状態を維持するための様々な機構(代謝抑制、水分量の低下など)を備えています。オゾンは、これらの休眠機構に関わる分子を酸化的に修飾し、休眠状態からの覚醒を阻害する可能性も示唆されています。

悪臭成分の分解

カビが発生すると、特有の不快な臭いを発することがあります。この悪臭は、カビが代謝活動によって生成する揮発性有機化合物(VOCs)などが原因です。

オゾンガスは、これらの悪臭成分とも反応し、酸化分解します。オゾンが臭いの分子構造を変化させることで、臭いを別の無臭の物質に変化させ、消臭効果を発揮します。

カビの悪臭の原因となるのは、揮発性有機化合物 (VOCs) です。代表的なものとしては、メチルイソボルネオール (MIB)ジェオスミン硫化水素低級脂肪酸アルコールアルデヒドケトンなどがあります。これらの VOCs は、分子内に不飽和結合や官能基(-OH、-SH、>C=Oなど)を持つものが多く、オゾンとの反応性が高いです。

オゾンがこれらの悪臭分子と反応すると、酸化分解が起こり、より低分子で無臭、または臭いの弱い物質(例:水、二酸化炭素、低分子カルボン酸など)に変化します。

硫化水素(H₂S)は、オゾンと反応して硫酸(H₂SO₄)や硫黄酸化物などに酸化されます。MIBやジェオスミンなどのテルペン系化合物は、オゾンとの反応により、環構造が分解され、アルデヒドやケトンなどの断片化された分子に変化します。

このように、オゾンは悪臭分子を化学的に分解することで、消臭効果を発揮します。

オゾンガスによるカビ不活化の利点

  • 強力な酸化力: オゾンは、塩素系薬剤よりも強力な酸化力を持つため、カビの細胞膜や細胞内成分を効果的に破壊できます。
  • ガス状であることの利点: ガス状であるため、微細な隙間や手の届きにくい場所にも浸透し、表面だけでなく、建材などの内部にまで浸透してカビに作用する可能性があります。
  • 残留性が低い: オゾンは反応後、比較的速やかに酸素(O₂)に分解されるため、残留性が低いとされています。ただし、高濃度で使用した場合や、換気が不十分な場合は、オゾンが残留する可能性もあるので注意が必要です。
  • 環境負荷が低い: オゾンは自然界にも存在する物質であり、適切な使用方法であれば、環境への負荷が比較的低いと考えられています。

カビ菌糸の根の深さ: カビは、表面に見えているカビっぽい汚れやカビのコロニーだけでなく、建材内部に 菌糸 という根のようなものを張り巡らせて成長します。 特に木材やコンクリート, 石膏 ボードなどの多孔質な建材では、菌糸が深くまで入り込みやすく、表面を拭き取っただけでは菌糸の根を完全に除去することはできません。

こういった場合には「浸透性カビマー剤」などを使用して処理を行います。

あれこれ書きましたが、「何言ってるのか分からない、、、、」って感じだと思います。それくらいカビは難しいという事をお伝えできればと思いました。

薬剤を使う。オゾンを使う。専用薬剤を使う。どのカビ業者でも施工方法は似たり寄ったりだと思います。

しかし知識の量は業者により雲泥の差があるのが事実です。どうせ費用が掛かるなら専門性の高い業者に依頼したいですよね。

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