火事の被害にあったときの脱臭サービスの必要性

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火事が発生すると一般的に言う「火災臭」というニオイで建物の中が満たされ、とてもじゃないですがそのままでは暮らせなくなります。

数年前に集合住宅の一室で火事が発生しましたが、このお部屋はオーナーさんも管理会社さんも火災後は「室内全てをリフォームして新品に変えれば臭いなんて消えるだろう」と考えたようで臭い対策やダイオキシン対策を行っていませんでした。

数年後にこのお部屋に行く用事があり伺いましたが、今でもものすごい火災臭が充満しており酷い状況でした。見た目はすべて新品なのに部屋中から火災臭がしてくるんです。

それに火事が発生した後は「ダイオキシン」対策が必要です。ダイオキシンはみなさんなんとなくご存じの通り、身体に非常に有害な物質です。

ダイオキシン類は、ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン (PCDDs) とポリ塩化ジベンゾフラン (PCDFs) の総称で、意図的に製造される化学物質ではなく、主に廃棄物の焼却や化学物質の製造過程などで非意図的に生成される有害な化合物群です。

PCDDs には 75種類、PCDFs には 135種類の異性体が存在し、それぞれ毒性や化学的性質が異なります。特に毒性が強いとされるのが、2,3,7,8-テトラクロロジベンゾパラジオキシン (TCDD) です。

発生源としては、都市ごみ焼却、産業廃棄物焼却、製紙パルプの塩素漂白、一部の化学製品製造プロセス、自動車の排ガス、火山活動や山火事などの自然現象、住宅の火災など、多岐にわたります。

非常に少量でも人体に有害であり、発がん性、免疫毒性、生殖毒性、内分泌攪乱作用など、様々な健康影響を引き起こすことが知られています。環境中に長期間残留し、食物連鎖を通じて濃縮されるため、深刻な環境汚染物質として問題視されています。

ダイオキシンは非常に驚異的な残留性を持っています。

化学的に非常に安定: ダイオキシン類は、ベンゼン環という安定な構造を持ち、さらに塩素原子が結合しているため、化学的に非常に安定しています。熱や酸、アルカリなどにも強く、通常の化学反応では分解されにくい性質を持っています。

疎水性が高い: ダイオキシン類は水に溶けにくく、油に溶けやすい性質(疎水性)を持っています。そのため、水環境中では底質や堆積物に吸着しやすく、生物体内では脂肪組織に蓄積されやすい傾向があります。これが、ダイオキシンが環境中に長期間残留し、食物連鎖を通じて濃縮される原因の一つです。

微生物による分解が困難: 自然界には、様々な微生物が存在し、多くの有機化合物を分解する能力を持っていますが、ダイオキシン類は微生物による分解が非常に遅い、または困難であることが知られています。これは、ダイオキシンの化学構造が複雑で、微生物が分解するための酵素を持ちにくいこと、ダイオキシン自体が微生物にとって毒性を持つ場合があることなどが理由として考えられます。

ただ、ダイオキシンは全く分解されない訳ではありません。自然界でも非常にゆっくりではありますが、分解されるメカニズムが存在します。

光分解(紫外線分解):

  • メカニズム: ダイオキシン類は、特に紫外線(UV)を含む太陽光にさらされると、脱塩素化反応や開環反応などの光化学反応を起こし、分解されます。特に、気相状態や、植物の葉の表面など、太陽光が直接当たりやすい場所では、光分解が比較的速く進行します。
  • 影響要因:
    • 太陽光の強さ: 紫外線の強い場所(高緯度地域、夏季、晴天時など)ほど、光分解は促進されます。
    • ダイオキシンの存在する状態: 気相状態、薄膜状、溶液状など、太陽光に触れる表面積が大きいほど、光分解は効率的に進みます。土壌や堆積物中に深く埋まっているダイオキシンは、光が届きにくいため、分解は遅くなります。
    • 共存物質: 光分解を促進する物質(光触媒など)や、逆に抑制する物質(紫外線吸収剤など)の存在も影響します。

微生物分解(生物分解):

  • メカニズム: 一部の細菌、真菌、藻類などの微生物が、ダイオキシン類を分解する能力を持つことが報告されています。これらの微生物は、ダイオキシン類を代謝したり、共代謝と呼ばれるメカニズムで分解に関与すると考えられています。
  • 影響要因:
    • 微生物の種類と活性: 分解能力を持つ微生物の種類や、その活性度(生育環境、栄養源など)が大きく影響します。
    • 環境条件: 温度、pH、酸素濃度、栄養塩類など、微生物の生育に適した環境条件が整っている必要があります。嫌気性条件下(酸素が少ない環境)では、脱塩素化反応が進むことが報告されています。
    • ダイオキシンの種類: ダイオキシン類の中でも、塩素置換体の数や位置によって、微生物分解されやすさが異なります。一般的に、塩素の数が少ないもの、特定の塩素位置にあるものの方が分解されやすい傾向があります。
    • 共存物質: 微生物分解を促進する物質(栄養源、電子供与体など)や、阻害する物質(重金属、他の有害物質など)の存在も影響します。

化学的分解(酸化分解、還元分解など):

  • メカニズム: 自然界に存在する酸化剤(オゾン、過酸化水素など)や還元剤、または土壌中の鉱物などが、ダイオキシン類と反応し、分解を促進する可能性があります。しかし、これらの自然な化学的分解は、光分解や微生物分解に比べると、一般的に非常に遅く、限定的な影響と考えられています。
  • 影響要因:
    • 酸化剤・還元剤の濃度: 自然界におけるこれらの物質の濃度は低いため、分解効果は限定的です。
    • 反応条件: pH、温度、共存物質など、化学反応が進行しやすい条件が必要です。

Beクリーンでは大容量オゾン発生装置と、専門的な知見によりダイオキシンの分解が可能です。

ただ、オゾンを発生させるだけではダイオキシンが無くなるわけでは無い点に注意が必要です。

オゾンガスの特性: オゾン (O₃) は、酸素原子 (O) 3つからなる気体で、酸素 (O₂) の同素体です。常温で淡青色の特異臭のある気体で、非常に不安定で分解しやすく、強力な酸化力を持つことが特徴です。

オゾンガスの酸化力: フッ素に次ぐ強力な酸化力を持ち、様々な物質と反応します。この酸化力を利用して、ダイオキシンなどの有害物質を分解することができます。

オゾンガスの反応性: オゾンは、不飽和結合を持つ有機化合物と反応しやすく、ダイオキシンのベンゼン環の二重結合や塩素置換基と反応することで分解を促進します。

オゾンガスの生成: オゾンは、酸素に紫外線を照射したり、高電圧放電をすることで生成できます。比較的に容易に現場で生成できるため、ダイオキシン処理施設などで利用されています。

オゾン付加反応:

まず、オゾンはダイオキシンのベンゼン環の炭素-炭素二重結合に付加反応を起こします。これにより、不安定なオゾニド中間体が生成されます。

オゾニド分解と開環反応:

生成したオゾニド中間体は不安定なため、速やかに分解し、ベンゼン環が開環します。この過程で、様々な開環生成物、例えば、ジカルボン酸アルデヒドケトンなどが生成されます。

脱塩素反応と酸化分解:

開環した中間体は、さらにオゾンによる酸化を受け、脱塩素反応や低分子化が進みます。塩素原子が脱離し、ヒドロキシル基 (-OH) やカルボキシル基 (-COOH) が導入され、最終的には二酸化炭素 (CO₂) 、水 (H₂O)、塩化水素 (HCl) など、より無害な物質にまで分解されます。

反応のポイント:

  • 選択的酸化: オゾンは、ダイオキシンのベンゼン環の二重結合を優先的に攻撃するため、比較的選択的にダイオキシンを分解できます。
  • 低温反応: オゾンガスによる分解反応は、常温や比較的低温でも進行するため、エネルギー効率が良いとされます。
  • 触媒利用: 反応効率を高めるために、触媒 (例えば、活性炭、金属酸化物など) が併用されることもあります。

オゾンガスによるダイオキシン分解のメリット・デメリット

オゾンガス分解法は、他のダイオキシン分解技術と比較して、いくつかのメリットとデメリットがあります。

メリット:

  • 低温分解: 高温を必要としないため、エネルギー消費を抑えられます。
  • 二次汚染物質の低減: 燃焼法のようにダイオキシンを新たに生成するリスクが低く、未反応オゾンも自然に酸素に戻るため、二次汚染物質の発生を抑制できます。
  • 設備が比較的簡素: 高温焼却炉のような大規模な設備を必要とせず、比較的コンパクトな装置で処理が可能です。
  • 多様な形態のダイオキシンに対応: 気体、液体、固体など、様々な媒体中のダイオキシンを処理できます。

デメリット:

  • 反応条件の最適化が必要: 反応速度や分解効率は、オゾン濃度、反応温度、湿度、pH、触媒の種類など、様々な条件に影響を受けるため、最適な反応条件を確立する必要があります。
  • 処理対象物の制限: オゾンガスは気体であるため、固形物中のダイオキシンを効率的に分解するには、前処理 (例えば、溶媒抽出、加熱脱着など) が必要な場合があります。
  • コスト: オゾン発生装置の導入・維持コスト、運転コストなどがかかる場合があります。
  • 安全性: オゾンガスは高濃度では人体に有害であり、適切な安全対策が必要です。

難しい話でしたが、オゾンでダイオキシンを分解するメカニズムはこんな感じです。

上の反応条件の最適化が必要という項に記載しましたが、オゾンを発生させるだけではダイオキシンは分解できない。この点に注意が必要です。

火災臭の消臭業者さんは年々増加傾向にあり、みなさん色々なホームページの内容をコピペし「ダイオキシン対策」と書かれていますが、実際に何処までの理解度があるのか?というのは疑問が残ります。

しっかり理論に基づき施工してくれる業者さんに依頼したいですね。

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